あらすじ
精霊剣も加護も持たない「無能な令嬢」として、フェルダート公爵家で十七年間冷遇されてきたエリアーヌ。社交界デビューの夜、妹シエルに公衆の面前で後継者の座を奪われ、翌朝には屋敷を追い出される。
行き着いた先は、魔獣の巣窟と呼ばれる王国最北の辺境——灰狼砦。そこで待っていたのは、無骨で口数の少ない騎士団長ダミアンだった。精霊剣も加護も関係ない。ただ、人手が足りない。そう言って帳簿仕事を任せた彼は、エリアーヌが初めて「使えない」と言わなかった人間だった。
砦での日々の中で、エリアーヌは少しずつ変わっていく。そして魔獣の大群が押し寄せた夜、ずっと封じられていた真実の力が、堰を切ったように溢れ出す。
無能と呼ばれ続けた令嬢が、辺境の地で自分の名を取り戻す物語。