あらすじ
十七歳の少年・シンは、自分には「まだ目覚めていない超常の力」が宿っていると本気で信じていた。
そしてある日、彼はその力を証明するため、羽田空港の滑走路に立ち、迫り来るボーイング777を素手で止めようとする。
当然、そんな超能力は目覚めなかった。
シンは飛行機に轢かれ、あっけなく命を落とした――はずだった。
次に目を覚ました彼がいたのは、見知らぬ貧しい少年の身体。
しかし、シンはそれを異世界転生だとは思わなかった。
「……ここ、病院だよな?」
事故のショックで見ている夢。
そう思い込み、元の世界に戻る時を待ち続けるシン。
だが、目の前で魔法が使われても。
自分の手から黒い炎が噴き出しても。
魔物に襲われても。
彼は頑なに信じ続ける。
――これは、目覚める前に見ている夢だ。
やがてシンは、自分の中に宿った「黒炎」が、この世界でも類を見ない異質な力であることを知る。
かつては誰にも相手にされなかった妄想。
誰にも認められなかった「自分は特別な存在だ」という幻想。
それが異世界では――本物だった。
夢だと思っていた世界で、少年は本当の英雄へと変わっていく。
ただし、シンだけは最後まで知らない。
――自分が、もう二度と元の世界へ帰れないことを。