あらすじ
縁を結ぶのは神でも、縁を切るのは人間の仕事だ。
皇都の「縁籍局」で婚約破棄や離縁を扱う縁切り役人・榊千景。愛はいつか壊れるものだと信じる彼女のもとへ、第二皇子・鷹司景綱が奇妙な依頼を持ち込む。
「三か月前に死んだ婚約者との縁を切ってほしい」
死亡によって失効したはずの婚約。しかし千景が縁籍から亡き婚約者・九条藤乃の名を消すと、翌朝、その名前は元に戻っていた。
さらに余白には――
**「次の花嫁 榊千景」**
死者の呪いなのか。それとも、何者かによる文書の改竄なのか。
調査を始めた千景は、景綱が過去にも二人の婚約者を失っていることを知る。一人は婚礼直前に死亡。一人は失踪。そして藤乃もまた、婚礼を目前に死んでいた。
三人に共通していたのは、景綱との婚姻前に「結縁誓書」という皇族文書を読んでいたこと。
やがて千景は気づく。
呪われていたのは、皇子でも婚姻でもない。
死んだ藤乃が婚約を消させなかったのも、景綱への執着ではなかった。
**彼女は死後もなお、愛する皇子を守っていたのだ。**
人との縁を切ることだけを仕事にしてきた女と、愛した女を三度失い、誰も愛さないと決めた皇子。
二十年前に消された皇族の秘密と、三人の花嫁を襲った事件を追ううち、千景自身も景綱に惹かれていく。
けれど、彼を好きになれば――次に殺される花嫁は自分かもしれない。
**切れるかもしれない縁を、それでも人はなぜ結ぶのか。**
死者が遺した恋文から始まる、和風ロマンス×お仕事ミステリー。