あらすじ
高校三年生の春、朝倉澪の人生には何の狂いもないように見えた。
成績優秀で、性格は穏やか、信頼できる友人もいれば、すでに未来を描いてくれている両親もいる。彼女はずっと、誰もが羨む道を歩んできた。一度も間違えたことはなかった。
ある日、彼女は屋上へと続くあの扉を開けるまでは。
そこにはいつも、一人の女の子が立っていた。
無口で、人を寄せつけず、煙草を吸い、校内で最も近づいてはいけないと言われる噂に包まれている。まるで朝倉澪の人生とはまったく別の世界に属しているかのようだった。
澪は、自分たちに接点なんてないと思っていた。
けれど、離れようとすればするほど、視線はその人に留まってしまう。
同時に、澪の心の中でずっと押し殺されてきたあの声も、少しずつはっきりとしてきた。
——「本当はこんなこと望んでいないくせに」
屋上から始まった出会い、成長と受容、そして自分自身との和解をめぐる青春の物語が、ここから始まる。