あらすじ

十三歳の侯爵令嬢、オフィーリア・フォン・メルツェンは、生まれつき身体が弱かった。 家族から深く愛され、守られ、大切に育てられてきた彼女は、高熱で生死の境をさまよったある日、前世の記憶を取り戻す。 そこで初めて気づいた。 自分はこれまで、何ひとつ自分で決めてこなかったのではないか、と。 歩くことも。 本を読むことも。 友人へ手紙を返すことも。 誰かに会うことも。 すべては「あなたのため」という言葉とともに、家族が先回りして決めていた。 そんなオフィーリアのそばに、幼い頃からずっといる一体の人形があった。 濃いブルネットの髪。 淡い水色の硝子の瞳。 そして、横にしても決して目を閉じない、不思議な人形。 やがて祖父母の屋敷で療養することになったオフィーリアは、その人形が本来は眠る仕掛けを持つ「スリープアイ」の人形だったことを知る。 修理のために人形の身体を開くと、その中から出てきたのは、古い護符といくつもの祈りの言葉。 『元気になりますように』 『病に苦しみませんように』 『丈夫な身体になりますように』 そして最後に残されていたのは、 『いつまでも私のそばにいてくれますように』 という、母の願いだった。 これは、呪われた人形の物語ではない。 愛されながらも、その愛に包まれすぎていた少女が、自分の人生を自分で選ぶことを覚えていく物語。 そして、長いあいだ眠れなかった人形とともに、 病弱令嬢オフィーリアが「自分で生きる」ことを始めるまでの人形譚。

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小説を読もう2026/08/12
  • 現在の作品悪役令嬢人形譚〜病弱令嬢と眠らない人形〜