あらすじ
エン山問題が解決し、森の集落が安定してきた頃。エルドの調査員ルースから、連絡が来た。川が三年前から不規則に変動している。水位が急に上がり、急に下がる。農地が水没しかけている。原因が分からない。
凪は二か月後、エルドへ向かった。
現地の川を見て、すぐに気づいた。水の動きが、おかしい。
上流の山に入ると、地鳴りがした。そして見つけた。大きな岩が、少しずつ動いていた。岩の下に、空洞があった。地下水が長年かけて石灰岩を溶かし、自然にできた空洞だった。岩が川に落ちれば、川がせき止められる。そして一気に流れれば、洪水になる。
今回の敵は、悪意ある人間ではなかった。自然そのものだった。
凪は力を使って岩を補強しながら、技術者が来るまで時間を稼いだ。でも、一人の力には限界があった。魔王の力でも、止められないことがある。
そのとき、思わぬ助けが来た。ゴルだった。岩人の技術と、凪の感じ取る力が合わさったとき、初めて見えてきた解決策があった。
人と自然の、静かな戦い。でも、戦い方は、凪らしく、静かで、地道だった。
川が、また穏やかに流れるまでの話。