あらすじ
妻が死んだ。
ラングヴァイ公爵オルデリクは、棺を用意させ、北の国から白い花を取り寄せ、王都でいちばん高いという泣き女に人をやった。
この家の者は泣かない。泣かないのではなく、泣いてはならないと躾けられている。人前で取り乱すのは血の弱さだと、この国では言う。
だから声を買う。買えるだけの家が、買う。
──明日の夜、私は妻の棺の前に立つ。立って、泣かない。
冷酷と噂される男が、妻の葬儀の前夜に何を手配し、何を見て、何を言わなかったか。それだけの話です。
※単話完結。同じ夜を泣き女の側から書いた連載『泣き女のわたくしが呼ばれたのは、誰ひとり泣かなかった公爵夫人の葬儀でした』もあります。