あらすじ

絵画を観に行くべきだと藝大出の友人に言われ仕方なしに休日美術館へやってきたわけなのだがあまりにも人混みが酷く、受付時点で既に帰りたいという怠惰な欲求が抑えられないでいた。  ただの絵だろう。何を沸る。  そんな気持ちで列に並び当日券を購入。窓口を担当する女の張り付いた微笑に「アルカイックスマイルですね」と管を巻いてやろうかと思ったがやめた。彼女らも仕事。労働は本意ではないだろう。嫌な口を聞かせ、「あはは」と愛想笑いをさせる必要もない。「大人一枚」だけのコミュニケーション。2000円をやり取りするだけの関係性。金を払いチケットを受け取ればそれだけである。心中にて彼女に「さよなら」と告げ、後ろに並んでいる連中を背に入り口。半券をもぎられ入場すると、人、人、人。辟易としながら展示区画に足を踏み入れると更に人。もうこの時点でかなりの後悔に襲われて疲労がどっと表面化してきた。だが順路へと流れる波に飲み込まれた以上踵を返すわけにもいかない。他人の歩みに身を任せ、途中展示されている絵を観ては「ふぅん」と頷き、知ったような蘊蓄を披露している気障な男を小馬鹿にしながら、牛歩の如く足を動かしていく。

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カクヨム
カクヨム2026/08/12
  • 現在の作品芸術の心