あらすじ
「私ね、街の外に家が欲しいの。大きなベランダがあって、毎日パンケーキを作ってくれるような……」
罪悪と混乱に満ちた街で、ルクランにとって恋人のシアだけが唯一の救いだった。
二年間の貯金を叩いて買った銀の指輪。プロポーズの言葉を口にしようとしたその瞬間――
漆黒の巨大な剣が、シアの華奢な胸を容赦なく貫いた。
突如現れた魔王によって、最愛の少女はあっけなく物言わぬ肉塊へと変えられた。
絶望の末、十年間閉ざされていた理性の扉が炸裂する。
ルクランは武器も捨て、狂犬のごとく魔王に喰らいつき、その眼球をくり抜き、喉をへし折った。
死闘の果て、魔王の魂はルクランの体へと寄生し、彼に「無限の再生」を与えて消滅する。
全てを失い、自ら命を絶とうとしたルクランの前に現れたのは、死んだはずの、無傷で微笑むシアの姿だった。
「泣かないで、ルクラン……私ならここにいるよ」
涙を流し抱きしめるルクランの背中に、冷たい毒刃が深く突き刺さる。
剥ぎ取られる少女の皮。そこから現れたのは、妖艶な謎の美女――。
狂気と絶望の底で覚醒する男と、その魂に宿る魔王。
歪んだ愛と偽りの皮肉が交錯する、ダークファンタジー開幕。