あらすじ
魔界氷河期戦争を生き延びた元兵士、ロイド。
十五歳で戦場へ送られ、青春も教育も失い、それでも戦後は冒険者として十四年間働き続けた。
だが三十四歳になった彼に残っていたのは、戦争で壊れた身体と、時代遅れになった重い鎧だけだった。
冒険者の戦い方は変わった。
敵の攻撃を盾で受け止める重装前衛より、攻撃される前に倒す若い高速冒険者が評価される時代。
そして三十五歳になれば、上位ランクへの昇格資格さえ失われる。
最後の昇格機会を賭けた依頼まで若い冒険者に奪われ、ようやく回ってきた高危険度任務で、ロイドは命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは十四年前。
戦争が終わったばかりの、二十歳の自分に戻っていた。
若い身体。
これから起こる事件。
値上がりする資源。
未来で名を上げる冒険者。
そして、今はまだ誰にも評価されていない人材と技術。
すべてを知っている。
だがロイドは、自分一人が強くなろうとはしなかった。
速すぎるせいで死地まで一直線に飛び込んでしまう天才剣士アンジェリーナ。
火力がないという理由だけで仲間から追い出される環境術師セラ。
誰にも売れない「止まるための魔導具」を作り続け、やがて権利を奪われるはずの貧乏技師フィン。
一度目の人生なら埋もれていた才能へ、ロイドは誰よりも早く手を伸ばしていく。
未来で流行る技術を買う。
未来で必要になる人間を仲間にする。
そして十四年間の戦場経験から、彼らが死なずに力を発揮できる戦い方を作る。
勝利条件はただ一つ。
――全員、生きて帰ること。
これは、英雄になれなかった氷河期世代の男が、二度目の人生で自分だけではなく、かつて報われなかった者たちの人生まで拾い直していく物語。