あらすじ
十年前、ヒューの村は魔物に襲われた。
母は幼いヒューを守るため、自ら囮となって命を落とした。
村へ駆けつけ、多くの命を救った一人の冒険者。
人々は彼を「英雄」と呼んだ。
だが、ヒューにとっては違った。
「英雄なら、母さんを助けられたはずだ」
そう責められても、男は言い訳をしなかった。
ただヒューの前で頭を下げた。
――救えなくて、悪かった。
それでも男は剣を持ち、助けを求める人のもとへ向かっていった。
ヒューは、その背中を忘れられなかった。
十年後。
剣を振り続けた少年は青年となり、冒険者になる。
剣士ヒュー。
魔法使いマリア。
弓使いフィローネ。
仲間と出会い、魔物と戦い、傷つき、敗れ、それでも少しずつ強くなっていく。
レベル、職業、そしてヒューだけが持つ謎の力《魂の器》。
やがて彼らの旅は、人間界に存在するはずのない魔物と、その背後にある大きな異変へとつながっていく。
英雄とは、誰より強い者なのか。
すべてを救える者なのか。
それとも――救えなかった命を背負いながら、それでも誰かを守ろうと剣を取る者なのか。
これは、一人の少年が英雄の背中を追い、自分自身の道を歩き始める物語。