あらすじ
本を燃やす役人、焚書官。
王国の命令で禁書を焼いたトウマ・クレイは、灰の上に白い一行が浮かぶのを見た。
『正午、王都の地下で最初の戦争が始まる』
落ちこぼれの彼に与えられた異能〈余白読〉は、燃えた文章の「まだ書かれていない次の一行」だけを読む力だった。未来を見られるわけではない。読めるのは、その本を書いた誰かが、最後に選ぼうとしていたことだけだ。
やがてトウマは、焼却を命じられた本の作者リゼと出会う。彼女は、七つの国が歴史から消した「最後の一行」を集めていた。
一行を読むたび、トウマは自分の言葉をひとつ失う。それでも、七年前に禁書を書いて消えた姉エナの続きを探すため、彼は灰庁から逃げる。
本を焼く制度は、誰かを守るために作られたのか。それとも、誰かの都合のいい結末だけを残すためだったのか。
これは、燃えた本の続きを拾う焚書官と、未完の物語を抱えた少女が、消された国々の声をつなぎ、次の一行を自分たちで選ぶ長編異世界ファンタジー。