あらすじ
大魔王の最高幹部にして、誇り高き『剣士の美学』の体現者――闇月蝕の剣士【ルナント】。
宿敵である史上最強の勇士と、どちらか一方が塵に還るまでの究極の死闘を繰り広げた彼は、一太刀の差で敗北し、清々しい余韻と共に命を終えた……はずだった。
――眩しい朝の光。のどかな鳥のさえずり。
目覚めた場所は、世界の「仕様(システム)」を盲信する、見知らぬ現世。
すべてを出し切り、何にも縛られる必要のなくなった漆黒の魔戦士は、人間の青年「アルバ」に擬態し、安宿の片隅で静かに生存戦略(宿代の計算)を始めようとする。
しかし、そんな彼の前に現れたのは、生まれつき魔力の流れを見るのが致命的に苦手な、超慎重な勇者の少女「エルノア」。
システムが弾き出したステータス数値に溺れる周囲から「無能」と蔑まれ、孤独に大剣を抱え込む彼女に、アルバはただの戦闘の基本――『世界の理』を叩き込む。
「システムがなんだ。ただの石ころの軌道すら見えんのか、弱者」
魔力ゼロの男が魅せる、仕様外の超絶技巧。
さらには、安全圏から世界を覗く異界の怪異、そして牙を隠して街に潜む魔物の影が、静かに動き始める――。