あらすじ

大学の講義が休講になった午後、暇つぶしで入った美術館。 そこで出会ったのは、館で働く真紀さんと、版画を研究する大学院生の奈緒さんだった。 海の絵が気になるから。 版画が少し分かるようになってきたから。 そんな理由をつけながら、僕は毎日のように美術館へ通う。 けれど本当は、もう分かっていたのかもしれない。 受付に誰がいるのか気になって、名前を呼ばれただけで嬉しくなって、三人で過ごした時間ばかりを帰り道に思い出す。 奈緒さんも。 真紀さんも。 たぶん僕も。 何も気づいていないふりをしていただけだった。 三人でいるのが好きだった。 だから、誰か一人を選ぶことができなかった。 そして、選ばないままでいれば何も壊れないと思っていた。 そんなわけ、なかったのに。 誰も悪くなかった。それでも、三人ではいられなかった。 恋になる前の午後を、終わらせられなかった三人の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/08/11
  • 現在の作品午後の美術館――三人でいた時間が、いちばん好きだった