あらすじ
──父が遺したものを、全部捨てるつもりだった。
数か月前に父を亡くした鮎川直人は、実家に残された大量の絵を処分していた。
家族より絵を大切にしていた父。
直人にとって、絵画はずっと嫌いなものだった。
そんな父の遺品の中から見つかった、一枚の小さな油絵。
裏には父の字で――「いつか本人に返すこと」と記されていた。
絵の持ち主を探す途中で出会った額縁店員・佐伯灯とともに、
直人は、自分の知らなかった父と、一枚の絵に残された過去を辿っていく。
これは、知らなかった誰かを、もう一度知ろうとする物語。