あらすじ
杉本愛里27歳。将来を期待される脳科学者である。が、周りが見えなくなるほどの熱心さが仇となり、海外派遣とは名ばかりの左遷。彼氏にまで見放される。
偉人の脳細胞から作られる脳コンピューター。国を超えて、様々な欲望が渦巻く。
ある日、留学時代の恩師トンプソンから、その偉人の脳を所持しているという知らせが届く。
自宅へ行ってみると、街は爆撃にさらされ、無残な姿になっていた。そこへ現れたのは、見たことのない青年フロイドだった。
愛里達は、博士からアルバトノフの脳を託され、神戸脳科学研究所に配属されることになった。
研究所には、東京での上司だった山崎博士が待っていた。
日本との国交がないエクソリアの政府機関から逃げて来たという青年フロイドは、ハッカーだという。山崎を交えた3人で、ある特別な機能を持つスマートウォッチの開発が始まる。
これには、2社の民間企業の協力があった。1社は有名な医療器具メーカー、もう1社は、以前その社長は、変わり者だが天才肌といわれる人物で、ユニークなアイデアを持っていた。
トンプソン夫妻には、日本に体操留学している13歳の息子がいる。夫妻が日本にいた時生まれた子供で、スポーツ万能少年として、マスコミで話題になっていた。彼のコーチは、元オリンピック選手で、天才社長の同級生でもある。
様々な人々の協力で進んでいく開発は、暴走するエクソリアの軍備が人工知能に支配されるのを防ぐためのものだ。
しかし、もとはといえば、過去のコンプレックスを自覚している愛里が、自分を知りたくて始めた研究だった。
運動感覚を理解するのに欠かせないミラーニューロンという神経は、人を理解する思いやりにも関連しているという。
私的な興味から大掛かりなプロジェクトへ。周りの環境が変化していく中で、自分がどれだけ周囲に支えられているかを感じ取っていく愛里。
機械ではなく、人間の脳を使ったコンピューターは、倫理感を持って扱わなければいけないということも学んでいく。
また、頼もしいボディーガードや、意外な協力者も、脇役として魅力を放っている。
オリンピックを復活させたいという少年や元オリンピアン達の願いは届くのか。そして、独裁者の野望にストップはかけられるのか。