あらすじ
第一話「借金返済」
(今だ――)
ソフィは、藍染の袴を纏った腰を反時計回りに鋭く捻ると、回転によって生じた遠心力と体重を木刀に乗せ、体勢を崩した巨人の正に幹の如き左胴を、叩き斬った。「砕けろ」との想いを込めて――。
鉱山事故で急死した大叔父から、子爵家の家督と三千万帝国マルクの「闇の借金」を相続した十四歳の少年エルフ、ルイス・フォン・エーベルハイトは、債務を返済するべく、エルフェリア帝国国営賭博闘技「撃剣」・春の皇帝杯への参戦を決意する。
十六番人気のエーベルハイト子爵家オーガ奴隷チームを率いるのは、エルフの容姿に花浅葱色の角を持つ「オーグレルフ」の美少女ソフィ。
観衆らの予想に反し、巧みな戦術で勝ち上がった子爵家チームは、一番人気のゲルデルン公爵家巨人・獣人奴隷チームと決勝で対戦。先鋒ソフィが、鮮やかな面抜き胴「竜旋」でもって五人抜きを果たし、見事優勝を決める。
・組番号二連単式投票
・同三連単式投票
・奴隷番号五連単式投票
で「一人勝ち」したルイスは、一億七千万帝国マルクを超える配当金を手に入れ、借金を無事完済する。
しかし、闇の貸金業者「黒鉄の環」のシュミットは、意味ありげに笑みを浮かべると、若き領主にこう告げる。「気を許さない方がよいでしょうな」。
勝利の裏で、静かに動き始める陰謀。奴隷と少年貴族が織りなす、異色の物語が始まる――。