あらすじ
奈良の大仏・盧舎那仏(ルシャナブツ)の光から生まれた妖精、ルシャナ。
人間たちの願いを見つめるのが、彼女の日課だった。
けれどある日、一人の少女が不思議な祈りを口にする。
「どうか、この願いだけは叶えないでください」
願いとは、叶えてほしいから願うものではないのか。
その言葉の意味がどうしても気になったルシャナは、少女のあとを追い、大仏殿の外へ飛び出した。
少女は成長し、悩み、転び、ときに願いを手放しながら、自分だけの道を歩いていく。
永い時を生きるルシャナは、その人生にそっと寄り添いながら、やがて気づいていく。
願いは、叶ったか叶わなかったかで終わるものではないのだと。
動かない仏から生まれた、自由に空を飛ぶ妖精。
そんな彼女が一人の人間の人生を見届けたとき、初めて知る「祈りの向こう側」とは――。
これは、願いを叶える物語ではない。
願いのその先を見つける物語。