あらすじ
《某戦役年代記より》
――かの者は、終焉の楼にて幾百年の眠りについたと伝えられる。人と悪魔の戦を終わらせた英雄の名は、いつしか大陸中の子供が知るおとぎ話となっていた。
忘れ去られた禁忌の地で、静かに朽ちていくはずだった英雄。だがその眠りは、覇権国家が甦らせた終末の魔法によって、無情に破られる。
強制的に引きずり出された先に待っていたのは、自分が守ったはずの祖国の、変わり果てた姿だった。力はまだ、全盛期には遠い。名を名乗っても、誰も信じない。伝説は、英雄本人を歓迎しない。
それでも彼は、還ると決めた。
忘れられた英雄と、滅びゆく大陸の、不器用な帰還と再生の英雄譚――今、幕を開ける。