あらすじ
「愛しているのは君だけだ」
そう優しく囁きながらも、公爵ジェラルドは今日も別の女性へ微笑みかける。
政略結婚で公爵夫人となったエレノアは、夫のその言葉を信じ続けてきた。
どれほど女性と親しくしていても、
どれほど女性へ贈り物をしていても、
どれほど噂になっていても――
「君が一番だから」
その一言がある限り、自分だけは特別なのだと。
しかしある日、夫が若い令嬢と口づけを交わす現場を目撃してしまう。
そして、エレノアはようやく気が付く。
“一番”では幸せになれない。
己が欲しかったのは、誰かと比べられる愛ではなく、ただ一人だけを愛してくれる人だったのだと。
エレノアは涙を流すのをやめ、静かに動き始める。
夫の不貞の証拠を集め、公爵家を支えてきた仕事を整理し、粛々と離婚の準備を進めていく。
そんな彼女の前に現れたのは、かつて遠くから彼女を想い続けていた隣国の若き皇帝、ルーク。
「…ずっと、アンタだけを見ていた」
一途な愛を貫く彼の誠実さに、凍りついていたエレノアの心は少しずつ溶かされていく。
一方、妻が去って初めて、公爵家がエレノアによってどれだけ支えられていたのか、自分がどれほど大切な人を傷つけてきたのかを知るジェラルド。
「本当に愛していたのは君だけなんだ……!」
そう後悔しても、もう遅い。
これは、「一番」ではなく「唯一」を選んだ一人の女性が、本当の幸せを掴む物語。