あらすじ
「クビか、女になって社長秘書か」——四十五歳の俺に、会社が突きつけた二択は、そのどちらもが地獄だった。
大鷹物産・総務課で二十三年。無遅刻無欠勤、課長代理止まり。独身、ローン残債あり、母の介護費あり。そんな俺に人事部長が示したのは、給与三倍の「特別秘書室」への異動だった。ただし条件は、グループの医療ベンチャーによる“施術”を受けること。目覚めたとき、鏡の中には二十代半ばの女が立っていた。
用意されたのは膝上二十センチの特注制服。値踏みするような視線。接待の席で強要される酌。ホテル、温泉、野球拳——社長と取引先会長の思惑に、俺は日ごとに追い詰められていく。
だが、忘れてもらっては困る。こっちは総務二十三年だ。経費の裏も、宴会の切り抜け方も、役員の力関係も、全部この頭に入っている。
若い女の身体に、おっさんの魂と、経理の知識。やられっぱなしで終わるほど、サラリーマン人生は甘くない——これは、備品にされた男の、静かで痛快な逆襲の物語。
※全8話・完結済み