あらすじ
「この村で、生者と死者の境界はすでに壊れている――」
インドネシアでの凄惨な悲劇を生き延びた少年、無月江戸(むげつ・えど)。彼が帰国後に選んだ安住の地は、徳島県の秘境・名頃(なごろ)。住民よりも多くの案山子が「監視」する不気味な村だった。
彼が住むことになった古い屋敷には、かつて夫に惨殺された最凶の怨霊・伽椰子が潜んでいた。しかし、感情を失った江戸にとって、彼女の呪いはただの心地よい子守唄に過ぎなかった。
目覚め始める二つの禁忌の血――虚無の『無月』と、鋭利なる『黒鉄』。
血を分け合い、魂を喰らい合う少年と怨霊。二人の異常な愛情は、やがて腐敗した陰陽師クランを震撼させる。
「君は僕のものだ、伽椰子。神ですら君を奪わせはしない」
狂気的なまでの純愛と、圧倒的な蹂躙劇。
人形の村から始まる、美しくも残酷な復讐譚が今、幕を開ける。