あらすじ
王立郵便院の迷い便係リネットは、封印に残った『差出人が本当に望んだ宛先』だけを聞き取れる。結婚後の退職と職務印の譲渡を求める婚約者に指輪を返したその日、廃止された配達管から、宛先を上書きされて黒くなった外装便が落ちてきた。中に束ねられていたのは、王国の守護網を更新する四通の手紙。三十日後の公開更新式までに正しい共同体へ届け直さなければ、道も橋も帰る家を忘れてしまう。リネットは、夜の配達路で固有名を口にできない無口な夜便隊長カイと旅へ出る。地図から消された町、住所を持たない旅人、偽の中継印。届かなかった声を一つずつ返すうち、メモから始まった二人の信頼も恋へ変わっていく。仕事も未来も手放さない女性が、王国と自分の帰る場所を選び直す、全20話完結の魔法郵便ロマンス。