あらすじ
世界各地の九十六人が、ほぼ同じ時間帯に同じ夢を見た。
白い衣の者は告げた。
――七日後、最初の幸いが始まる。
最初に起きるのは、世界中の誰もが理解できる一つの「清い言語」。
そして七日ごとに、損なわれた知力の回復、病と体の障害の消失――人類の常識を覆す「幸い」が次々と現実になっていく。
その始まりを世界へ伝える役目を負ったのは、ノースカロライナ州に暮らす三十五歳のエリック・ウィルソン。
人前で話すことさえ容易ではない、吃音を抱える男だった。
奇跡は人を救う。
だが、政治も経済も宗教も、奇跡が起きる前と同じではいられない。
しかも「幸い」は、人間から選ぶ自由を奪わない。
奇跡が増えるほど、人が何を信じ、何を守り、どちらを選ぶのかが、かえってあらわになっていく。
そして十の幸いの先には、人類が失ったと思われていた「聖なる書」が待っていた。
けれど、本当に失われていたものは――その書そのものなのか。
これは、奇跡を待つ物語ではない。
奇跡が本当に起きた世界で、人間がどう生きるのかを描く物語。