あらすじ
貧しい家庭に生まれ、幼い頃から両親と一緒に市場で働きながら暮らしてきた少年――ノア・ミルン。
勉強というものをまともにしたことは一度もなかった。
それでも、ノアにはひとつだけ、昔から大好きなものがあった。
――魔法だ。
誰かが魔法を使っているのを見かけるたび、仕事の手を止めて夢中になって眺めてしまう。
そんな息子の姿を見ていた両親は、長い時間をかけて少しずつお金を貯め、ついにノアを王都の名門魔法学院――《アルフレッド学院》へ通わせることを決めた。
しかも、他の生徒たちより遅れて四年生からの入学。
初めての学校。
初めての寮生活。
そして、ずっと憧れていた魔法の授業。
期待に胸を膨らませるノアだったが――現実は、そう甘くなかった。
魔法理論も。
術式学も。
基礎学問も。
一年生の頃から何年も勉強してきたクラスメイトたちについていくだけで精一杯。
せっかく夢だった魔法学院に入れたというのに、このままでは進級すら危ういかもしれない。
しかし、ノアにはまだ誰も知らない、とんでもない才能がひとつだけあった。
それは――底が見えないほどの魔力。
そして学院で出会うのは、いつも前向きで騒がしい友人ルークと、学院でもトップクラスの成績を誇る、大都市ラグナ領主の娘レイナ・ヴェルクレスト。
普段は他の生徒にも厳しく、しっかり者のレイナ。
なのに、なぜかノアの前でだけは少し恥ずかしそうにして、妙に優しくなるようで……?
学院祭、野外実習、寮生活、試験に課題。
そして、少しずつ増えていく新しい友達。
これは、今まで何ひとつ学ぶことのできなかったひとりの少年が、
初めて学校へ通い、
魔法を学び、
友達を作り、
少しずつ成長していく物語。
そしていつか――
誰よりも立派な魔法使いになるまでの物語である。