あらすじ

五十八歳の冬のある朝、島崎和夫は台所の流しに転がった空き缶を拾った。それだけのことだった。誰も見ていなかったし、世界は何ひとつ変わらなかった。  変わらなかったが――その日、和夫は飲まなかった。  酒で妻に去られ、娘に絶縁され、仕事も貯金も失った男が、百円ショップの大学ノートに一行だけ書き始める。「今日も飲まなかった」。誰に見せるあてもない、たった一行を。  十二年後。娘の結婚相手を名乗る若い男が、和夫の働くクリーニング店に、偶然のふりをして現れる。  人は変わらない――それが、十五歳の夜から娘が抱えてきた唯一の家訓だった。  全六話。アイロンと、黒糖の飴と、雪解けの音の話です。

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カクヨム
カクヨム2026/08/11
  • 現在の作品雪解けの音