あらすじ
東京で上場企業に勤め、ブランド物に囲まれて暮らしていた若宮苑。
順風満帆だったはずの人生は、ある事件をきっかけに一転した。
仕事を失い、金も失い、婚約者とも破局。
手元に残ったのは、売りそびれた赤い靴裏のハイヒールだけ。
行き場をなくした苑は、五年ぶりに故郷――京都の山奥、花脊へ帰ることになる。
そこで待っていたのは、苑を育てた祖母・ダフネと、
「噂通り、えらい別嬪さんやね。オソノちゃん」
やたら馴れ馴れしい、作業着姿の男・巧身だった。
軽薄。図々しい。人をおもちゃみたいに弄ぶ。
腹が立つ。めちゃくちゃ腹が立つ。
―― 正味な話ぃー、顔だけはマジでドタイプやんな。
――まあ向こうが?どうしてもって言うなら?
付き合ってやらんこともない。
心の内でそんなことを宣う性格に難ありの京女と、
京都の山里で暮らす飄々とした男。
これは転生もしなければ聖女にもならなかった女が、
都落ちした先で働いて、怒って、笑って、
もう一度自分の人生を拾い直しながら、恋に落ちる話。
※ 本作はフィクションです。実在する地域を舞台とし、その土地の風土・文化・祭事等を参考にしていますが、物語および登場する人物・団体・出来事等はすべて創作であり、実在のものとは一切関係ありません。