あらすじ
王都一の悪女、セレナ・アルヴェール公爵令嬢。
高価なドレスに宝石、容赦のない物言い。
新聞でどれだけ叩かれても、
「売れました?」
と笑っているような女だ。
大衆紙の記者レオンは、そんな彼女の不正を暴くよう命じられる。
浪費の裏には、きっと何かある。
そう信じて金の流れを追ったレオンが見つけたのは、不正でも裏取引でもなかった。
地方の子ども支援基金へ、七年間、一度も途切れることなく続いている送金。
食事、学用品、冬服、薪、学校の昼食代。
しかも彼女は、自分の金が誰に使われたのか、一人の名前すら知らなかった。
「なぜ公表しない?」
そう問い詰めたレオンに、セレナは答える。
「褒められたいことと、褒められたくないことは、別ですもの」
悪女が実は聖女だった。
そんな記事を書けば、間違いなく売れる。
だが、それは本当に“事実”なのか。
悪女は善意を持てば聖女になるのか。
善意は、誰かに知られて初めて価値を持つのか。
これは、王都一嫌われている公爵令嬢と、彼女を暴くはずだった一人の記者の物語。