あらすじ

「――君の名前を、まだ聞いていない」 魔力を持つ者だけが貴族として扱われる国、エルディナ。没落した魔術師の家に生まれたリゼは、両親を亡くし、裕福な親戚の屋敷に引き取られた。 だが家族として扱われることはなく、与えられたのは屋根裏の寝床と、使用人と同じ量の仕事だけだった。十五の春の測定式で、彼女の光晶は灯らなかったからだ。 ある夜、息が詰まって屋敷を抜け出した街外れで、リゼは一人の青年と出会う。 互いに名も身分も明かさないまま、夜が明けるまでの短い時間を、言葉だけで過ごした。 誰かに「働き手」ではなく「一人の人間」として扱われたのは、リゼにとって初めてのことだった。 「また会いたい」 別れ際、青年はそう言った。 けれどリゼは、その言葉を信じることができずに帰路へと着くのだった。 だがある日、屋敷の門前に、一台の馬車が止まった。 ――王都にその名を知られた魔術師一族の、後継者を乗せて。

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小説を読もう2026/08/11
  • 現在の作品灯らない娘は、自分の足で立つことにした