あらすじ
「君との婚約は解消する」
「レグルスは」
「明朝、処分する」
婚約者ゲオルクに捨てられたその日、エレナは、実家ローデン牧場で生まれた牝馬レグルスまで失いかけていた。
出足が遅い。馬群を怖がる。鞭を嫌う。
ゲオルクはそんなレグルスの性質を知りながら、自分の「勝ち方」に合わないからと切り捨てる。そして、御前競馬を二度勝った名馬アルタイルと、その生産牧場の娘アデーレを選んだ。
レグルスを買い戻す金はない。
そこでエレナが向かったのは、年内に妻を迎えなければ家督を失う公爵マティアス・ハロウのもとだった。
「一年だけ、妻になります」
「君の条件は?」
「レグルスを買ってください」
こうして始まった、一年間の白い結婚。
馬房と牧草地だけを借り、飼い葉代も蹄鉄代も御前競馬の登録料も、エレナは馬医として自分で稼ぐ。
そして気づく。
レグルスは弱いのではない。
ほかの馬と同じ走り方を強いられていただけなのだと。
ならば、自分が乗る。
最後方から、大外へ。
誰にも合わないと言われた馬のための走り方で、エレナとレグルスは二度の御前競馬を制したアルタイルへ挑む。
白い結婚から始まる、捨てられた令嬢と牝馬の逆転恋愛譚。
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