あらすじ
公爵令嬢オリヴィアは十歳のときから、王太子アルヴィンの膳の皿を一つずつ先に口にしてきた。
毒が入っていると訴えても誰にも信じてもらえず、舌が焼けても、婚約者の務めだと続けた。
夜会でアルヴィンは新しい婚約者を横に立たせ、こう言った。
「そんな下働き、侍女にでもやらせればいい」
オリヴィアは取り乱さず一礼し、その日で手を引く。
翌月、王宮の食卓は止まった。代わりを命じられた侍女が寝込み、アルヴィンは皿の前で震えるようになる。
——毒は、ずっと入っていたのだ。焼けた舌でも味の分かるものを探す男が隣にいて、迎えの使者が跪いても、彼女はもう戻らない。