あらすじ
ソウタはアオイを見ていて。
アオイもソウタを見ていて。
ユキはそんな二人を憎むように見つめていて。
そして僕は――誰の視線も交わらない場所で、アオイだけを見ている。
取り壊しが決まった旧校舎の理科室。
そこは僕たち幼馴染四人の「秘密基地」だった。
高校三年生、最後の夏休み。僕たちは、綺麗に一方通行で繋がった、歪な四角関係の中にいた。
誰もが自分の想いを隠し、誰もが誰かの視線に傷ついている。それが、僕たちの守るべき「日常」だった。
だけど、僕たちの間には、もう一つ触れてはいけない
『傷跡』
がある。
三年前に起きた、アオイの弟の不慮の事故死。
全員が抱える共通の後悔と罪悪感が、僕たちの距離を奇妙に歪ませていた。
「夏祭り当日、私に協力して。ソウタと二人きりにして」
ユキから持ちかけられた、最低な嘘の同盟。
アオイの笑顔の理由になりたいという僕のエゴ。
それぞれの思惑が交錯する夏祭りの夜、完璧だったはずのリーダー・ソウタが隠し持っていた「最悪の秘密」が暴かれ、僕たちの関係は音を立てて崩壊していく。
これは、傷を隠した嘘つきな僕たちが、ボロボロになりながらも本当の素顔で向き合い、前を向くまでの、夏休みの痛々しくて愛おしい青春群像劇。