あらすじ

ロザリンドは、いつも素手でいる。 手袋をしない令嬢は、社交の場では珍しい。 けれど誰も、その理由を尋ねない。 彼女は婚約者の手を、三年間握り続けてきた。 触れているあいだだけ、相手の不運を自分の身へ移せるからだ。 落馬も、火事も、破談も、すべて彼女の身に起きた。 代わりに、ロザリンドは杖なしで歩けなくなった。 それでも婚約者は、感謝の言葉しか持たない。 君がいると何もかもうまくいく、と。 婚約を解消したいと告げられたのは、晩春のことだった。 その話を聞いているあいだも、彼女は手を握っていた。 別れ話の最中まで、彼女は働いていた。 そして、話が終わる。 ロザリンドは、はじめて手を離す。 指の跡だけが、白く残った。 翌週から、あの家では何かが起きはじめる。 けれど彼女は、何もしていない。 何もしないことを、選んだだけだった。 引き受けるのをやめた人は、誰かを傷つけたことになるのか。 その答えを、まだ誰も持っていない。

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小説を読もう2026/08/11
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