あらすじ
夏休みの夕暮れ、いつもの公園で僕は──何者かに殺された。
胸を打ち抜かれ、絶望の中で意識を失ったはずの望月楓《もちづきかえで》。
しかし次に目を覚ますと、そこは見知らぬ花畑だった。
巨大な電子看板。飛び交う『能力至上主義』のニュース。
混乱する僕の前に現れたのは、さっき別れたはずの幼馴染・奏音だった。
だが、豪華な屋敷に住み、重い眼差しを向けてくる彼女は、僕の知る彼女とはどこか『ズレ』ていた。
「楓は……私たちの目の前で、剣を胸に刺して死んだもの」
さらに出会った一国の姫・伊也から突きつけられたのは、僕が「かつて世界を救い、命を落とした英雄」だという事実。
身に覚えのない記憶。
僕を英雄と呼ぶ仲間たち。
そして、過去の真実に触れようとするたび、僕を襲う謎の頭痛と激痛。
なぜ僕は英雄と呼ばれているのか。
なぜ僕は、目の前の人たちに「死んだ」と認識されているのか。
そして──僕は、一体何者なのか。
突如として命を狙われた姫を守るため、そして自らの過去を知るため。
記憶なき少年は、死を越えて幾度もの『世界』を駆け抜ける。
──これは、死に戻りの果てに「本当の自分」を探す、偽りの英雄の物語。