あらすじ
『金木犀が私たちの惑星』
あらすじ
金木犀の香りが漂い始めた秋。
高校生の月島星良は、校庭にある古い金木犀の木の下で、不思議な瓶を見つける。
中に入っていたのは、一枚のメッセージ。
『十月十二日。四人でここに来てください』
星良、幼なじみの神谷奏汰、明るい小野寺小春、写真が好きな白石湊。
四人はメッセージをきっかけに、学校に残された十年前の秘密を調べ始める。
やがて見つかったのは、幼い星良たちが写った一枚の写真。
そこには確かに四人の子どもがいる。
けれど――
一人だけ、誰なのか思い出せない。
顔の消えた少年。
十月十二日に交わされた約束。
旧校舎に残された記録。
そして、三人から同時に失われていた記憶。
少しずつ蘇ってきた少年の名前は、
朝倉凪。
十年前。
星良、奏汰、小春、凪の四人は、金木犀の木の下を自分たちだけの秘密基地にしていた。
そしてそこを――
「私たちの惑星」
と呼んでいた。
しかし、ある事件を境に凪は突然姿を消し、残された三人は彼の存在さえ忘れてしまっていた。
なぜ凪はいなくなったのか。
なぜ三人の記憶から消えたのか。
そして十年前、この学校では何が起きていたのか。
過去の謎を追いかける中で、止まっていた時間が再び動き始める。
ずっと星良を想い続けていた奏汰。
忘れていた初恋を取り戻していく小春。
十年ぶりに帰ってきた凪。
そして「昔の四人」にはいなかった自分の居場所を探す湊。
過去の四人に戻るのではなく、今度は五人で新しい惑星を作っていく。
恋をして。
喧嘩をして。
海へ行って。
花火を見て。
満天の星を眺めて。
それぞれの夢を見つけていく。
けれど卒業が近づくにつれ、五人は別々の未来を選び始める。
文学の道へ進む星良。
教師を目指す奏汰。
保育士を夢見る小春。
写真と映像の世界へ進む湊。
そして凪は、宇宙を学ぶため海外へ――。
同じ学校にいられる時間には、終わりがある。
それでも友情まで終わるわけではない。
金木犀が散っても。
季節が変わっても。
遠く離れてしまっても。
大切な人を思い出せる場所があるなら、いつだって帰ってこられる。
これは、失われた一人の友達を探す小さなミステリーから始まった、
五人の友情と初恋、夢、そして「帰れる場所」をめぐる青春物語。
――離れていても、私たちは同じ惑星にいる。