あらすじ
奴隷は、宰相になった。呪われた王子は、それでも前を向いた。
内海アムダリアを臨む小国ソフィーネ。母を死なせて生まれた王子アイオリスは、名も与えられず「呪いの王子」と呼ばれて育った。彼に手を差し伸べたのは、先王に仕えたガレウスと母を知る者たち、そして一人の逃亡奴隷が遺した願いだった。
同じ頃、遠い地で一人の奴隷が、主を焼き、名を捨て、「タクティカ」として歩き始めていた。理想の国を、この手で創るために。
情で人を包もうとする王子と、理で世界を統べようとする男。二人は迷い、怒り、間違え、それでも進んだ。やがて出会い、剣を交える——どちらが正しかったのか、その答えは、今も誰も知らない。
王を操る王妃、忠義に生きる者、名を奪われた奴隷たち、そして海の向こうで待つ帝国と、もう一人の呪われた王子。無数の思惑が交わる時、小さな国の物語は、世界を巻き込む大河となる。
これは、春を望んだ二人の男の物語。国は滅び、夢だけが残った、その記録である。
※舞台は、諸国と遊牧民が入り乱れる古代ペルシャを基にした世界。情で人を包む王か、理で世界を統べる宰相か。人を幸せにするのは、どちらの手か——「国のかたち」を問う、重厚な歴史ダークファンタジー。