あらすじ
「リリアナ。俺たち、婚約をやめないか?」
ある日、伯爵令嬢リリアナは、長年の婚約者である侯爵家嫡男アルフレッドから突然婚約解消を告げられる。
理由は、最近知り合った子爵令嬢を好きになったから。
しかし話を聞いてみれば、アルフレッドは父である侯爵にも、リリアナの父である伯爵にも何も相談していない。それどころか、想いを寄せている子爵令嬢本人にすら気持ちを伝えておらず、相手も自分を好きだろうという思い込みだけで婚約を解消しようとしていた。
「細かいことは後からやればいいだろ? なんとかなるって」
その言葉を聞いた瞬間、リリアナはようやく気づく。
これまでアルフレッドが何を忘れても、どんな失敗をしても最後には「なんとかなっていた」のは、リリアナがずっと彼の代わりに考え、支え続けてきたからだった。
そして今回ばかりは、もう彼の尻拭いをするつもりはない。
「分かったわ。あなたがそこまで言うのであれば、婚約の解消を受け入れます」
あっさり婚約解消を受け入れたリリアナに、アルフレッドは安心する。
――自分が婚約者だけではなく、もっと大切なものまで失おうとしていることにも気づかないまま。