あらすじ
2055年、日本。熱帯化した街を、赤いホバークラフト・バイクが駆け抜ける。
15歳で入隊した防衛軍を満期除隊し、10年ぶりに“シャバ”へ帰ってきた黒谷マコ(25)。自由の身になったマコには、ささやかな夢があった。
「思いっきりBLを買って! 毎日、BL三昧で過ごすッッ!!」
ところが――BLの棚が、ない。
マコが軍にいた10年の間に「文化浄化法」が制定され、BLをはじめ、暴力ゲーム、恋愛小説、神話、歴史小説――人々に“余計な価値観”を与える物語は次々と消されていた。
昔のサークル仲間・梅谷アイ(25)を訪ねたマコが目にしたのは、自警団によって焼かれる本と、炎の中から二人の思い出の同人誌を守ろうとするアイの姿だった。
二人が中学生の頃に作った、たった一冊のコピー本。
その本を、人類のあらゆる叡智を保管しているという幻の図書館〈アカシック・ライブラリー〉へ届けるため、マコとアイは赤いバイクで走り出す。
やがて二人のもとには、焼け残った詩集、聖書、絵本、恋愛小説――それぞれの人生を生かしてきた本が託されていく。
追うのは文化浄化局と、「正しい社会」を守る人々。
拳の腐女子・マコと、癒しの腐女子・アイ。
二人が日本を縦断して運ぶのは、本なのか。
それとも、正しさだけでは語れない、人間の記憶なのか。
――腐女子バディの日本縦断SFロードムービー、発進!