あらすじ
宮田茜には、大嫌いな悪役令嬢がいた。
乙女ゲームに登場する公爵令嬢、ヴェティア・ブュッフェ。
恵まれた身分と魔法の才能を持ちながら、自分の失敗を認めず、何でも他人のせいにする女。
やがてヒロインを逆恨みし、禁忌の闇魔法へ手を染め、最後には「鮮血姫」と呼ばれるラスボスとなる。
「私がこの世界の住民だったら、もっと上手くやるのに」
そう思っていた茜は、事故で命を落とした。
そして次に前世の記憶を取り戻したとき――自分自身が、そのヴェティアになっていた。
しかも記憶が戻ったのは、侍女アンナを魔法で傷つけてしまった直後。
このまま原作通りに進めば、婚約者である第一王子ロンドとの関係は壊れ、平民のヒロイン・ルミエを憎み、最後には破滅する。
未来を知っているなら、避ければいい。
けれどヴェティアは気づいてしまう。
前世の自分もまた、うまくいかないことを他人のせいにして生きていたことに。
だから彼女は、ただ破滅を回避するのではなく、自分がしたことから逃げないと決める。
傷つけた相手に謝る。
自分に不利な事実も隠さない。
間違えたなら認める。
そして、次は違う選択をする。
そんなヴェティアの行動によって、本来なら敵になるはずだったルミエや、彼女を警戒していたロンドとの関係も、少しずつ原作とは違うものへ変わっていく。
しかし同時に、原作でヴェティアが手を染めるはずだった禁忌の研究も、別の形で動き始めていた――。
これは、過去をなかったことにして幸せになる物語ではない。
自分で作った罪を自分で引き受けながら、それでもこれからの人生を自分で選び直していく、悪役令嬢の再生の物語。