あらすじ
乾いた井戸の底から、まだ来ていない雨の音がする。
旧帝国の街道を守る路守カイ・レヴァルは、風、井戸、石標に残る三つの兆しから、半年以内に雨が戻る可能性を読み取る。だが、彼の父が残した帳面は予言書ではない。兆しは外れ、記録は欠け、確かな日付など誰にも分からない。
成人四十人、期限三十日。カイたちは見捨てられた廃都タルサへ向かう。そこには二十七人の旧住民が残り、泉は一日百人分しか飲めず、家、便所、食料、土地の権利はすべて壊れていた。
水を見つけても、誰が先に飲むかを決めなければ町は滅びる。カイと水判官ミラは、最低水量、公開帳簿、期限付き権限、非常時の事後審理を一つずつ作る。人が増えれば水が減り、交易が戻れば独占が生まれ、三都市が道を開けば北から二千五百の軍が来る。
そしてカイは、雨の予測幅を隠した自分の判断で仲間を傷つける。国をつくる資格は、未来を言い当てることではない。分からなかったことと失敗を公開し、預かった権力を返せることだ。
水利、物流、監査、戦争。四十人の遠征は、三都市と十一村を結ぶ連合国の始まりになる。
※小説家になろうにも同時投稿しています。