あらすじ
三十七個の失敗は、リディアを諦めさせるには足りなかった。
王宮の夜会で婚約を解消された地方伯爵令嬢リディア。
上級実務が遅く、婚約者の役に立てない。その評価に言い返せなかった彼女が本当に耐えられなかったのは、自分の人生を相談もなく処理されたことだった。
失意の庭園で出会ったのは、王国一の鬼教官ユリウス・ヴァイス。
「君は、どうしたい」
慰めも正解も与えない彼の推薦を受け、リディアは王立学院で学び直す道を選ぶ。
ところが最初につけられた順位は、百二十八人中百二十七位。初日の実習では、三十七個もの失敗を犯してしまう。
それでも彼女は逃げなかった。
手順を間違えた。時間を使いすぎた。確認が足りなかった。
失敗を一つずつ記録帳へ書き、原因を分け、翌日に試す。うまくいかなければ、また書く。ほかの生徒のように一度で覚えられなくても、昨日の自分には負けない。
その執念深い積み重ねは、やがて彼女の順位だけでなく、「役に立たない」と切り捨てられてきた人々の人生まで動かしていく。
しかし、教わる側から教える側になったリディアは、自分の成功体験を生徒へ押しつけ、新たな失敗を犯すことになる。
成長しても、間違いはなくならない。
だから彼女は、その失敗からも逃げずにやり直す。
才能も奇跡も持たない落ちこぼれ令嬢が、何度でも失敗した場所へ戻り、鬼教官とともに「誰もがもう一度始められる場所」を作るまでの、粘り勝ちお仕事成長ロマンス。