あらすじ

漆黒の東京湾に、一隻の密猟船が接岸した。船倉の奥深く、頑丈な鉄籠に閉じ込められていたのは、アマゾンの奥地で捕獲された体長70センチの未確認動物(UMA)――「ピッチ」。 湿った灰褐色の皮膚、背中に並ぶ不気味な疣(イボ)、そして怪しく蠢く三つの目。お世辞にも「可愛い」とは言えないその異形に、密猟者たちは高額な取引を夢見ていた。しかし、ピッチには恐るべき適応力と、見たものを吸収し、その行動を完全に模倣する特殊能力があった。東京湾に到着するやいなや、ピッチは檻を破り、大都会へと脱走する。 あてもなく街を徘徊するピッチ。孤独と飢えの中、ピッチが出会ったのは、人生のすべてを“推し活”に捧げるアイドルヲタクの青年、タケシだった。タケシは、弱小地下アイドル「アメージング」を頂点に押し上げることを夢見ていたが、個性のない現状に限界を感じていた。 深夜の秋葉原で出会った、異形のUMAと、絶望するヲタク。普通の人間なら悲鳴を上げて逃げ出す光景。しかし、タケシは気づいた。ピッチの動きのキレ、そして自分のポーズを瞬時に模倣してみせた超人的な表現力に。 「これだ……! これこそが、今のアイドル界に足りない圧倒的なインパクトだ!」 タケシは、ピッチを「アメージング」のメンバーと融合させ、ユニット『アメージング&ピッチ』としてデビューさせるという、前代未聞の計画を思いつく。しかし、そこからの道のりは「苦難の連続」だった。 ピッチの異形に怯え、拒絶する「アメージング」のセンター、ミサキ。ピッチの骨格に合わせた独自の振り付けの考案。SNSでの炎上、そしてピッチを追う保健所や裏社会の売人たちの影……。 数々の試練を、タケシとミサキ、そして誰よりも「人間」になりたがっていたピッチは、絆を深めながら乗り越えていく。 そして、ついに迎えたデビューライブの日。 curiosity(好奇心)と炎上目的、そして不穏な気配が渦巻く小さなライブハウス。 ステージに立った『アメージング&ピッチ』。異形のUMAが、可憐な地下アイドルの横で跳躍した瞬間、世界は一変した――。 これは、異形の怪物とアイドルヲタクが、苦難の末に夢を叶える、前代未聞の絆と成長の物語である。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/08/10
  • 現在の作品『アマゾンの怪物、秋葉原でセンターを狙う』 〜異形のUMAピッチとアイドルヲタクの絆〜