あらすじ
魔法が生活を支える都市国家ルミナでは、火災もまた魔法から生まれる。炎を消す水術、崩れる建物を支える土術、逃げ道を照らす光術。火衛局の魔法消防士たちは、命を救うために日夜、逆巻く火と戦っていた。
レン・アークライトの使える魔法は、ひとつだけ。燃えている魔法の「原因」を一つ切り離す〈消因〉。火を消せず、傷も治せず、攻撃にも使えない。落ちこぼれと呼ばれたレンは、妹ミナを灰眠から救う治療費を稼ぐため、第九区の救助隊へ入る。
そこで出会ったのは、炎の進路を読む元宮廷技師セナ、無口な救助犬ガルム、失敗を恐れて笛を吹けない通信係トワ。四人が初めて向かった魔法火災で、レンは見てしまう。火の根に、誰かが意図的に結んだ白い導管の線を。
一件の火事を消すたび、街は助かる。だが、原因を切るほど、過去に隠された火災の記憶がレンの身体へ残る。これは、火を消す物語ではない。火が生まれない都市を、救助隊と一緒に作り直す物語だ。