あらすじ
住吉歌は恋の賞味期限が分かる能力の持ち主である。
自分の豚のような醜い容姿も、自らの能力も大嫌いだった歌に転機が訪れる。
会社の後輩である信夫(しのぶ)との出会いだ。
信夫は頼りなくも心優しい男だった。
信夫の仕事のミスをカバーしていく内に、信夫はだんだんと歌に惹かれていく。
信夫のプロポーズに、歌は心から喜んだ。
その瞬間信夫の頭の上に恋の賞味期限が浮かんだ。
10年後、信夫に対する恋の賞味期限が切れる。
そのことを分かった上で歌は信夫のプロポーズを受けた。
順風満帆だった結婚生活。
しかし、幸福な結婚生活は歌の流産にきっかけに少しずつ陰りを見せ始める。
信夫は、歌の流産以降、歌に気を遣うようになった。
必要以上に優しくなった夫に歌は苛立ちを覚える。
小さな歪みはやがて大きな不和を生む。
信夫は日に日に痩せ細り、顔色が悪くなった。一方歌は日に日に肥え太り、顔付きが厳しくなった。
歌は信夫に不満を抱きながらも、それでも信夫のことが好きだった。
とうとう運命の日がやって来る。
その日は皮肉にも、結婚記念日だった。
信夫の作る豪華なフルコースを不満げに食べる歌。
歌はいつ、信夫から別れ話が切り出されるか。あるいは浮気について暴露されるか身構えた。
ふと、歌の意識が朦朧とし始める。
信夫は歌に睡眠薬を盛ったのだった。
信夫はフライパンで歌を撲殺し
「これで楽になれる」
と呟く。
その言葉に、歌は怒るでも、憎むでもなく、ただ安堵した。
私は最期まで、信夫のことを好きでいられたと。