あらすじ

「乾いた紙は、二回多く捻らなければ締まりません」——水引を結ぶ台の前で四年、そう申し上げるたびに返ってきたのは同じひと言でした。「冗談だ。本気にするな」。 梅雨は二回、寒は四回。その日の湿りで捻りの数を変えることだけが、半年後にほどけるかどうかを決めます。ほどけて戻された結びは、一件につき一つ、寝間の浅い箱へ収めてまいりました。 ある朝、わたくしは捻り台へ座るのをやめました。紙を揃えろと言われましたので、揃えるところまでを。家の者が同じ回数で捻った結びは、見た目だけなら見事に揃っておりました。 秋の結納を誰へ任せるか決める寄合へ、わたくしはその箱を抱えて参りました。——では、これから申しますことも、どうか本気になさいませんよう。

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小説を読もう2026/08/10
  • 現在の作品離縁いたします。四年の手間を冗談で流されたので、ほどけ結びの箱を持参しました——半年で、お宅の結びだけほどけます