あらすじ
四十二歳、平社員。
役職なし。部下なし。住宅ローンあり。
そんな山田洋一には、とんでもない夢があった。
「一国の王様になりたい」
当然、妻には「疲れてるなら寝たほうがいいよ」と一蹴される。
現代日本で、普通の会社員が王様になれるはずがない。
——だったら、自分で国を作ればいい。
国名は『アルカディア王国』。
領土なし。
国民なし。
資金なし。
あるのは、洋一がノートに書いた建国理念だけ。
『大人が、本気でくだらないことをする国。』
誰にも相手にされないと思っていた。
ところが翌朝——。
『国民になりたいです』
見知らぬ青年から届いた、たった一通のメッセージ。
国民番号000002。
それが、すべての始まりだった。
一人が十人に。
十人が百人に。
そして、ネット上のお遊びだったはずの王国に、少しずつ「国」が生まれていく。
国旗、国歌、爵位、憲章、領土——。
「王様になりたい」
四十二歳の男が口にした、子どものような夢。
このときはまだ誰も知らなかった。
その夢を笑えなくなる日が、本当にやって来ることを。