あらすじ
「私達は……同じ時間に生きられない」
——生死反転。
禁忌の代償として、片方しか生きられない呪いを課せられた二人。
命を分け合う二人は決して交わらず、代わる時は文字で想いを伝えた。
後悔に苛まれている姉は、文字だけでは決して伝えられないことを話したい。
妹は自分が生きることで、目減りしていく姉の人生の邪魔をしたくない。
この呪いを解くため、二人は完全なる蘇生術を求めた。
死者への冒涜は禁忌。
国中のネクロマンサー達は異端認定した教会に追われ、行き場を失っていた。
「始祖のネクロマンサーを探せ」
メルリス家当主の父の言葉を頼りに、姉のヴァネッサと妹のミリアは、完全なる蘇生術の手掛かりを求めて旅に出る。
悪意で牙を剥くネクロマンサー、姉妹と同じ悲しみを抱く異端審問官。
そして、自責と狂気に呑まれ、二人を死別に追いやった教会の信望者。
彼らに追われながらも、二人は互いの死体を操って道を切り開いていく。
隣にいるのに、そこにいない。絶対に逢えない二人が紡ぐネクロマンスファンタジー。
【世界観・設定】
『世界観』
教会が実権を持つヨーロッパ風。蒸気機関車が走る産業革命初期くらいの文明レベル。
『ネクロマンサー』
死体の復元などで生計を立てていたが、教会から異端認定されて以降、形を潜める。
『蘇生術』
異端認定前からも禁忌とされていた。
『蘇生術・生死反転』
互いの掌を重ね、額を合わせると生と死が入れ替わる禁術。死んでいる側の記憶は無い。
『半死人』
生と死の間を越えて生還した者。生者からの物理的干渉を受け付けない。
『完全蘇生の条件』
再生、操作、鎮魂、定着、供物の五つの条件を満たさねばならない。
【キャラクター】
『ヴァネッサ・メルリス』
ネクロマンサー家系であるメルリス家の長女。十八歳。将来を期待された天才児。研究に没頭して引き籠り続けていたため、外部との交流が薄い。妹よりも背が二十センチも低いため、妹に間違えられがち。かつて妹を遠ざけるために、顔すら見せず死別したことを今でも悔いている。
『ミリア・メルリス』
ヴァネッサの妹。十六歳。姉と違い、気さくで明るい性格で学園でも人気者だった。ネクロマンサーとしての才能は薄く、異端認定までは普通の人間としての日常を送っていた。その日常が姉の犠牲によるものだと知り、言葉を交わそうと何度も接触を試みるも、死別まで想いを告げることは出来なかった。