あらすじ
ある金曜日の朝、日本中のスマートフォンに突如として謎のアプリがインストールされた。
その名は――ZERO。
同時に、街中の大型ビジョンから謎の人物による声明が流れる。
「本日から毎週金曜日、21時に、この世の悪人を晒します」
それが、ZEROから発せられた最初で最後の言葉だった。
その日の21時。
ZEROは一人の人間を「悪人」として晒し上げた。
名前、顔、職業、住所。そして、その人物が犯したとされる数々の悪事と、それを裏付ける証拠。
瞬く間に情報はSNSを駆け巡り、人々はその人物を悪と決めつけ、罵り、裁こうとする。
だが、ZEROが示したのは――あくまで一つの「断片」に過ぎなかった。
やがて、ZEROに晒された者たちが次々と不可解な死を遂げていく。
さらに、その死体には毎回、同じ「何か」が残されていた。
ZEROによって悪とされた者を狙う、正体不明の殺人者。
一体、誰が何のために彼らを殺しているのか。
そして、なぜZEROは彼らを「悪人」として選ぶのか。
事件を追う刑事・桐生は、ZEROが公開する情報の裏側に、ある過去の事件が繋がっていることに気づいていく。
そこには、かつて世間から一人の人間を「悪」と決めつけた人々と、その結果として人生を奪われた家族の存在があった。
断片的な情報。
歪められた真実。
正義を信じる群衆。
そして、自らの手で裁きを下す者。
誰かを悪人だと決めつけるのに、本当に必要なのは真実なのか。
それとも――人々が信じたいと思える「断片」だけで十分なのか。
ZEROが始めた異常な事件は、やがて過去と現在、そして複数の人間の運命を繋ぎ合わせ、一つの巨大な真実へと辿り着いていく。
――たった一つの断片だけで、その人を語れますか?