あらすじ

「君は効率が悪い」——新年の客をお迎えする朝、婚約者はわたくしの手から鈴を取り上げ、義妹に持たせました。 七年、この屋敷の朝の手配を決めてまいりました。厨は厩より四半刻早く起こさないと、湯が沸く前に馬が出ます。薬湯を待つ老公は、人の足音が絶えてから。いがみ合う侍女二人は、同じ廊下で行き合わせない。雨の朝は洗濯を後ろへ回して厨を先に。 書き出せるのは順番の結果だけで、理由は全部わたくしの頭の中にございます。 鳴らす順は「早い順」に決め直され、わたくしの分はどこにも置かれず、婚約は破棄されました。左様でございます。効率でございますね。ですからわたくしの手配は、この屋敷には要りませんわね。 鈴を卓のいつもの位置へ、磨いてから置いてまいりました。持ち出すものはひとつもございません。 三月の朝、書き出された手順どおりに鈴が鳴らされます。湯が沸く前に馬が出、侍女二人が廊下で行き合い、老公は誰にも起こされません。誰も声を荒げません。ただ次の月から、訪問のお返事が来なくなります。 大叔母の口利きで領地と近隣の朝を任され、初めて自分の名で鈴を鳴らしたわたくしの門前へ「戻ってくれ」と立った婚約者へ、あの一句をそのままお返しするお話。

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小説を読もう2026/08/10
  • 現在の作品婚約破棄で七年の采配を取り上げられ朝の鈴を置いてきました。お宅の朝、もう整いません