あらすじ

東京の実業団で将来を嘱望されていたマラソンランナーの柏木洋介(26)は、右膝の致命的な怪我により現役を引退する。夢を失った洋介が帰ってきたのは、両親亡きあと弟妹たちだけが残された故郷の港町。実家の「柏木ペンキ店」を継ぎ、長男として崩壊しかけた家族をもう一度まとめようと腕を振るう。 ​しかし、洋介が夢を追っていた八年間、家を守り「兄の代わり」を務め続けてきたのは次男の慎二(24)だった。帰郷初日、腕によりをかけた大皿料理で出迎えた洋介に対し、慎二の積年の感情が爆発する。「今さら帰ってきて、あんちゃんの席にそのまま座れると思うなよ」――。 ​市役所勤務の慎二、看護師の美咲、大学生活に焦る俊介、反抗的な高校生の奈緒、そして兄の記憶が薄い小学生の太一。それぞれが洋介の知らない八年間を生き、傷を抱えていた。 ​剥げかけたペンキを何度も塗り直すように、そして不器用な手料理を囲みながら、六人兄弟はぶつかり合い、少しずつ「家族」をやり直していく。挫折した男が家族を救うのではない。バラバラだった六人が支え合い、長男の呪縛からも解放されて真の家族になっていく再生の群像劇。

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カクヨム
カクヨム2026/08/10
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